人生における社会的・肉体的・精神的な変化

一年の中で季節の節目があるように、私たちの人生においても、誕生から死に至るプロセスの中で様々な節目があり、その度に社会的・肉体的・精神的に変化をしていきます。

こうした変化のことをライフサイクルと言います。

ライフサイクル理論を代表する研究者の一人に、エリクソン(E.H.Erikson)という人がいます。

エリクソンは、私たち人間の発達を、

  1. 乳児期
  2. 幼児期前期
  3. 幼児期後期
  4. 学童期
  5. 青年期
  6. 成人前期
  7. 壮年期
  8. 老年期

と8つのライフサイクルの段階に区切り、他者との相互的な関係の中で、ゆっくりと成長(発達)していくと考えました(これを発達の漸成[ぜんせい]説と言います)。

そして、それぞれの段階で直面する心理・社会的な危機発達課題を設定し、課題を達成することができれば、それが基盤となって次の段階へ移行し、達成できない場合は、その課題はその段階に留まると考えました。
※各発達段階の危機と課題は下記の一覧のとおりです

図1 各発達段階の心理・社会的危機と発達課題

会社・組織の一員になるというライフイベントで幼児期的な危機が再燃?

例えば、乳児期の危機として、「基本的信頼 対 基本的不信」とありますが、これは、赤ん坊が両親あるいは重要な他者との関係の中で、自身の欲求が満たされる(あるいは満たされない)かで、他者に対して基本的信頼を得るか、基本的不信に陥るか、という危機を越えて希望を持つということが課題となります。

しかし乳児期の危機を乗り越え、 課題を達成したからとはいえ、それがその後の発達段においてもずっと安定したものになるとは限りません。

ライフサイクルが幼児期・学童期・青年期・成人期に入っていたとしても、その時に起きた出来事や体験により、かつて乗り越えた危機に再度直面し、課題の再構築を迫られることがあります。

つまり、会社・組織の一員になるというライフイベントにおいて、所属する会社・組織に対して、基本的信頼を得るか基本的不信に陥るか、という乳児期的な危機や、幼児期的な危機が再燃し、社会的に会社・組織の一員として働き、心理的には課題を再構築していくプロセスがあるといえるのではないでしょうか。

次回は、乳児期の心理・社会的な危機である「基本的信頼 対 基本的不信」を中心に扱い、会社・組織の中で乳児期的な危機を越えて課題を達成するための要素について考えています。

図2 エリクソンの発達の漸成説(各発達段階の項目上段は「危機」、下段は「発達課題」)

※大山(2015)を参照

参考文献
大山 泰宏(2015)改訂新版 人格心理学 一般社団法人 放送大学教育振興会

この記事を書いた人は

宮前諒平
宮前諒平