焦らず、静かに、充電されるのを静かに待つ

うつ病は、完璧を求めたり、手を抜かずに頑張らなければならないという頭の命令に、懸命に応えようとしてきたこころが、その重圧に耐え切れず、潰れ、破れ、エネルギーがなくなり、動けなくなってしまった状態です。

充電しようとしても、破れた箇所からエネルギーが流出してしまうため、なかなか充電されませんし、充電されてもすぐに充電切れになってしまいます。

破れた穴がふさがるまでは、焦らず、静かに、充電されるのを静かに待つしかありません。

充電されるのを、安静にして待っていれば、必ず充電されて、うつ病から抜け出すことができるのですが、自分、周囲との関係、将来への否定的な思い込みがあるため、じっと充電されるのを待つことができず、ジタバタしてしまうという焦りが、うつ病からの脱出を難しくしています。

効率の良い充電のために

エネルギーのもとはセロトニンなので、楽にしたり、ホッとしたり、楽しかったり、穏やかな気持でいる時間に充電されます。効率の良い充電のために、次のことを心がけましょう。

①無理なこと、嫌なこと、 しんどいことはしなくてよい。 

②楽なこと、少しでも気分が良くなることなら 何をしてもよい。 

③楽なこと、楽しいことでも 長時間はしない。 

④3分でも5分でも、 何も考えない時間 をできるだけたくさん作る。

例えば、ボーっとする、単純作業や軽い運動をする、自然やペットと触れ合うなど、何でもいいので、いいこと、楽しいこと、穏やかな気持でいられることなどたくさん見つけて、こころにエネルギーを貯めるようにしましょう。

うつ病から早く脱出するコツ

うつ病と闘い、打ち負かそうと、すぐに良くなる魔法の薬や治療法を求めようとしてはいけません。

流れに逆らって、ジタバタすると溺れてしまいます。必ず抜け出せるときが来ると信じて、流れに身を任せることが、うつ病から早く脱出するコツです。

うつ病からの脱出は、元の自分に戻ることではありません。

全力投球、全力疾走の頑張る自分、どんな困難にも立ち向かって負けない自分に戻ろうとすると、うつ病から抜け出すことはできません。

もし抜け出すことができたとしても、再びうつ病に飲み込まれることになってしまいます。

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うつ病は心の叫び

うつ病は、今まで通りの生き方では、身も心もボロボロになってしまう、もう今まで通りの生き方はできない、助けてくれという心の叫びです。

力で、困難や相手をねじ伏せようとしてきた生き方から、相手との駆け引きを楽しみながら、力を抜いて、相手を倒す軟投派のピッチャーのように、困難を上手にかわす生き方に変わるときが来ていることを知らせてくれているのです。

かっこよくなくてもいい、みんなからすごいと言われなくてもいい、自分のできることを淡々とこなしていく、そんな省エネの生活に変わることができれば、うつ病から脱出するだけでなく、ストレスの少ない機嫌のよい生活を送ることができます。

うつ病になったことを、マイナスと思わないでください。

柔軟でしなやかな、省エネでありながら効率のよい生き方を身につけるチャンスです。

力を抜きながらも、それなりのことはちゃんとやっている、そんな自分を好きになり、嫌なことより、楽しいことや良いことの多い生活を心がけましょう。

悪循環から抜け出し、良い循環に入り、明るい、楽しい未来が開けてきます。

うつ病は、いろいろなストレスが積み重なる、あるいは、大きなストレスが一気にかかって、ボールが大きく潰れた状態ですが、ボールが大きく潰れると、同時に、ものごとを悪く悪く考える考え方のクセも強くなります。

また、自分、周囲との関係、将来への否定的思い込みも強くなるため、自分がダメだからこうなった、自分がいると周りに迷惑をかけるとか、このままよくなることはなく、仕事もできないなど、ものごとを悪く悪く考えるようになり、それが新たな大きなストレスとしてのしかかってきます。

そのため、職場でのストレスがもとでうつ病になった人が、職場を休んで、職場のストレスから解放されても、すぐには、うつ病から脱出することができません。

仕事を休んで、家で休養をしても、もう会社に戻れないのではないか、自分は必要とはされていないなど、悪いことばかりを考えるため、頭を休めることができないからです。また、なんでもないことを悪く受け止めてしまうこともあります。

例えば、うつ病で休職中のご主人が、パートから帰ってきた奥さんの「あー疲れた」という一言に対して、「あなたは家でごろごろしていられていいわね」と責められていると受け取ったり、宅配便を受け取るたびに、「あのご主人、いつも家にいる」と変に思われていると感じたりしてしまいます。

また、休んで家にいることを近所に気づかれないために、窓を閉め切って身を潜めるように暮らしている人もいます。

休職して家にいても、ものごとを悪く考えてしまう新たなストレスのため、気の休まるときがないのです。

うつ病で家にいる奥さんも同じです。

ちゃんと朝起きて、子どもとご主人に朝食を食べさせて、学校や会社に送り出し、その後しんどくなって寝てしまうが、また夕方起きだして、簡単ながらも夕食の準備をし、するべきことはちゃんとやっているにもかかわらず、自分は何もできない主婦で、家族に迷惑ばかりをかけていると自分を責めて苦しくなっている人もよくいます。

このようになんでもないことを悪く受け止めず、自分は、それなりにやっていると思うことが、うつ病からの真の脱出につながります。

そのためには、今のあなたが好きだし、大事だと、大きな目で温かく見守ってくれる、ホッとできる人の存在が必要です。

周りの人からのさりげない暖かさによって、完全ではなく、至らないところもある自分だけど、そんな自分が好きだと思えるようになったときが、うつ病からの脱出を果たしたときです。

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この記事を書いた専門家

圓山一俊
圓山一俊㈱ホリスティックコミュニケーション
◆資格:
日本臨床心理士資格認定協会認定 臨床心理士第1716号
日本催眠医学心理学会認定 認定催眠士第21号

◆所属学会:
日本催眠医学心理学会
奈良県臨床心理士会会員

◆活動状況〈得意分野〉:
国立病院機構やまと精神医療センター心理療法士として35年、医療臨床に従事する。その後、奈良県介護・福祉人材定着支援事業、紀伊半島大水害被災者支援、大和郡山市市民相談など、臨床心理的地域援助活動に携わり、現在は、ホリスティックコミュニケーション奈良カウンセリングルーム室長として、産業臨床に従事している。

◆主な実績:
登校拒否に関する社会医学的研究で医学博士を取得。その他、神経筋肉系心身症や不安神経症の心理学的治療、介護労働者の介護負担、統合失調症の認知などに関する研究に従事し、研究論文を発表している。