TA心理学では、自律性を高めることが心を健康にするために最も推奨されます。自律性が高いということは
気づき(awareness)
 自発性(spontaneous)
 親密性(intimacy)
の能力を使うことができている状態です。

気づきとは、自分がどう生きたいのか、今それに対して何が問題なのか等、自分が機嫌よく生きることができていない理由に気づくということです。私たちは、子どもの時からいろんな体験をする中で、もう何も考えずに目の前の体験に対して行動を起こしたり、感情を持ったり、理屈をつけたりします。それが機嫌よく生きるのに役立っているならいいのですが、往々にして機嫌よく生きられない原因をつくりだしています。まずはそんな自分の思考・感情・行動を意識化すること、これは気づき(awareness)ということになります。

自発性とは、自ら選ぶということです。我々は他者や環境からいろんな影響を受けます。その影響をそのまま受けているとメンタルヘルスが不調になりやすいです。その状況が変わらないのであれば、その状況に向かう自分のスタンスを変えることが大切です。例えば、隣の席の人の香水の匂いが気になるというとき、「気になる、気になる」と思っているとどんどん気持ち悪くなりますが、「気にしない」と決めて、それでも気になることもありますが、そのたびに自分で「気にしない」と選ぶ。そのうちあまり気にならなくなるかもしれません。あるいはそれでも気になるなら、その人に「もう少し香水を減らしてくださいませんか」と頼むことを選べることが大切です。

親密性とは、表面上仲がいいということではありません。お互いが率直な関係で尊重しあいながら本音で話し合えるということです。人間は感情を持っていますから、お互いのコミュニケーションで嫌な思いをすることはあります。それを恐れて表面上仲良くしていると、実はどんどん疎遠になっていくことが多いようです。嫌な顔もするし、ちょっとしたけんかもするけど、お互いがお互いを大切に思っているということを伝えてさらにかかわっていくという関係性が親密性と言えるでしょう。アサーティブネスと深く関係していると思われます。

この記事を書いた専門家

豊田 直子
豊田 直子㈱ホリスティックコミュニケーション
◆資格:
臨床心理士、CDA(キャリアデベロップメントアドバイザー)
第1種衛生管理者、国際TA協会認定CTA(Certified Transactional Analyst)

◆所属学会等:日本産業衛生学会、日本産業ストレス学会、日本産業カウンセリング学会、日本交流分析学会、国際TA協会

◆得意分野:
働く人への短期療法的カウンセリング、TAカウンセリング
ラインケア・セルフケア研修、コミュニケーション研修、人事部門・健康管理部門へのメンタルヘルスコンサルティング