認知を否定的にしないための方法

他人からかけられたストレスは悪い事と判断されやすく、悪いストレスとなりますが、自分から負荷をかけたストレスは良い事か無害なことと判断するので、悪いストレスとはなりません。また、思いと違うことが起こると悪い事と判断し、嫌な気持になりますが、思い通りのことが起これば、悪くないことあるいは良い事となり、嫌な気持にはならず、場合によっては嬉しくなります。

認知を否定的にしないための一つの方法は、嫌な気持になった出来事を他人のせいだと思わないことです。

例えば残業を断れなかったとき、残業させられた、断れなかったと考えると、嫌な気持になります。このときに、今夜は特に予定はなかったから、残業を断って上司に嫌な顔をされるより、残業したほうが自分にとってよかったとか、断るより、残業したほうが楽だったと考えられると、さほど嫌な気持にならずにすみます。

認知を否定的にしないもう一つの方法は、出来事が起こる前の思いを変えておくことです。

うまくいって当たり前と思っていると、うまく行かないとき、嫌な気持になります。うまくいってくれたらうれしいけど、うまくいかないこともあるかもしれないくらいに思っていると、うまく行かないことが起こっても、残念だけど仕方ないと、さほど嫌な気持にならずにすみます。

嫌な気持が弱ければ、後悔することなく、先を見据えて、次うまくやるための方策を考えることができます。嫌な気持が強いと、なぜ前もって失敗しないようにしておかなかったかと、考えが過去に向ってしまい、後悔し、嫌な気持を引きずることになります。

何かをするとき、何かの出来事の前に、「他人のためでなく自分のためと考える」、「義務や責任でなく、嬉しいとか楽で選ぶ」、「相手に期待しすぎない」、「ものごとをいい、悪いで考えない」ように心がけると、認知は否定的とならず、嫌な気持になることが少なくなります。

この記事を書いた専門家

圓山一俊
圓山一俊㈱ホリスティックコミュニケーション
◆資格:
日本臨床心理士資格認定協会認定 臨床心理士第1716号
日本催眠医学心理学会認定 認定催眠士第21号

◆所属学会:
日本催眠医学心理学会
奈良県臨床心理士会会員

◆活動状況〈得意分野〉:
国立病院機構やまと精神医療センター心理療法士として35年、医療臨床に従事する。その後、奈良県介護・福祉人材定着支援事業、紀伊半島大水害被災者支援、大和郡山市市民相談など、臨床心理的地域援助活動に携わり、現在は、ホリスティックコミュニケーション奈良カウンセリングルーム室長として、産業臨床に従事している。

◆主な実績:
登校拒否に関する社会医学的研究で医学博士を取得。その他、神経筋肉系心身症や不安神経症の心理学的治療、介護労働者の介護負担、統合失調症の認知などに関する研究に従事し、研究論文を発表している。