脳が自分の意識から勝手に切り離してしまう

数年前、横綱だった朝青龍がモンゴルに帰って、サッカーに興じていたことが問題になり、そのときに報道された解離性障害という名前に、なに?それ?と思われた方も多かったと思います。

極度のストレス状態やつらい状況にあるとき、大きなショックやストレスのかかることから精神を守るために、自分の体験した出来事の記憶や考え、感情、行動などの一部を、脳が自分の意識から勝手に切り離してしまうことがあります。

それが解離と呼ばれる現象です。

拷問の苦しみから精神を守るために、自分の身体から抜け出して離れた場所から、拷問にあっている自分の身体を眺めているというようなことが起こることもあります。

本来連続しているはずの記憶や意識、人格が不連続となり、空白の部分が出来てしまうのです。

意識が飛んだ状態というと、わかりやすいかもしれません

解離性障害の種類

解離性障害は、その症状によってさまざまな種類に分類されています。

記憶が抜け落ちて、ストレスの原因となったできごとの記憶や感情の一部分、あるいはすべてを思い出せなくなるのが、「解離性健忘」です。

自分が自分である感覚がなくなり、自分が体験していることを、まるで映画を見ているように感じる「離人症」

行動や気持が普段の意識から切り離されて、突然普段の生活から離れて放浪し、放浪している間の記憶がない「解離性とん走」

全く別の人格が現れ、多重人格とも呼ばれる「解離性同一性障害」などがあります。

わたしも、突然意識がなくなって動けなくなってしまって、その記憶がない人や、部屋で意識がなくなり、気づいたら、たくさんのスナック菓子が部屋にあった、走った記憶はないのに、気づいたら脚が筋肉痛になっていた人、小学3年生の自分になって、私の前に現れた人など、何人かの解離性障害の方とお会いしたことがあります。

解離性障害の人は、自分の解離症状に気づいていないことが少なくありません。

見覚えのない人から親しげに声をかけられたり、買った覚えのないお菓子や衣類が部屋にあったり、知らない間に何時間もたっていたり、当惑するばかりでいることがあります。

周囲の人から嘘つき呼ばわりされ、いぶかしがられることもあります。

解離症状のために約束を守れない、人前で解離症状が出るのを避けるなどのために、社会生活や友人関係から遠ざかりがちになることもあります。

解離性障害は自分を守るための防衛本能

解離性障害は、強いストレスやこころに傷を受けるようなできごとから自分を守るための防衛本能だと考えられています。

解離性障害では、周囲の人もですが、本人自身が大きな戸惑いとつらさを感じています。

周りの人がサポートする上で大切なのは、解離症状の特徴を理解し、向き合うことができないつらい状況にあることを理解することです。

自分も他人も信じることができなくなっておられるので、あらためて信頼関係を築くことができるように、焦らずじっくりと寄り添ってあげてください。

安心して過ごせる存在、居場所となってあげてください。大事なのは、安定した毎日を暮らせるようになることです。

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この記事を書いた専門家

圓山一俊
圓山一俊㈱ホリスティックコミュニケーション
◆資格:
日本臨床心理士資格認定協会認定 臨床心理士第1716号
日本催眠医学心理学会認定 認定催眠士第21号

◆所属学会:
日本催眠医学心理学会
奈良県臨床心理士会会員

◆活動状況〈得意分野〉:
国立病院機構やまと精神医療センター心理療法士として35年、医療臨床に従事する。その後、奈良県介護・福祉人材定着支援事業、紀伊半島大水害被災者支援、大和郡山市市民相談など、臨床心理的地域援助活動に携わり、現在は、ホリスティックコミュニケーション奈良カウンセリングルーム室長として、産業臨床に従事している。

◆主な実績:
登校拒否に関する社会医学的研究で医学博士を取得。その他、神経筋肉系心身症や不安神経症の心理学的治療、介護労働者の介護負担、統合失調症の認知などに関する研究に従事し、研究論文を発表している。