何もしない時間も、必要な時間です

ヒトは、他人に対しては、「ルーズで、時間を守らないが、結構優しいところがある」「仕事はミスばかりで、どうしようもない奴だけど、他人の悪口は決して言わない、いい奴なんだ」とか、欠点があっても、いいところを見ようとします。

ところが、自分に対しては厳しい目を持っていて、一つでもダメなところがあると、全然ダメだと考える傾向があります。

うつ病になると、自分の良いところ、できているところを見ることができなくなるので、この傾向が強くなり、より自分をダメな人間と、否定し、うつの深みにはまっていってしまいます。

先ほどのうつ病で家にいる奥さんも、子どもとご主人の食事の支度をちゃんとやっているのに、できていることを見ることができていなくて、掃除もせず、昼間は寝てばかりと、自分にダメ出しをしています。

また、あるうつの女性は、だいぶ良くなってきているのですが、まだ、自分から、何かをやろうとか、やってみようと思うところまでのエネルギーがありません。友達から強引に誘われたり、親から買い物についてくるように言われると、何とか出かけることができますが、自分から、友達や親を誘って出かけることはありません。

また、何かをやってみるというエネルギーがないため、家にいても、何もすることがなく、起きているだけでもつらい状態にあります。

そんな彼女が、このごろ、調子のいいときと悪いときがあると話します。どう違うのかを聞いてみると、調子のいいときは、朝起きて、着替えて、顔も洗っているが、悪いときは、着替えもせず、一日中、夕方まで寝ていると言うのです。そして、夕方、着替えもせず、何もせずに、ずっと寝てしまったと、落ち込んでしまっているのです。

どこかに出かけたり、他人に会う予定もなく、家にいても何もすることがないのに、朝起きて、顔を洗って着替える。

何もすることがないのに起きて、そのつらい時間を耐え忍んでいる。起きて、何かすることがある人からは、想像もできないしんどさだと思います。

疲れるのが当たり前。起きることができない日があっていい

私たちが経験したことのないようなしんどさと戦っているのですから、疲れるのが当たり前です。何日間か起きていたら、疲れて、起きることができない日があっていいんです。

疲労回復のための時間です。一日、何も活動していなくても、心と頭は、働き続けていて、マラソン後の身体と同じくらい疲れているのです。

ダメだと思わず、心と頭を、ゆっくり休ませてあげてください。何もせずに、夕方まで寝ているのは、ダメな時間ではなく、休息の時間です。ダメに見えることをダメなことと思わず、それも必要なことだと、何もしていないように見える生活の中にある、良いところ、頑張っているところを見ることができるようになると、うつから抜け出す出口は、すぐ目の前です。

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この記事を書いた専門家

圓山一俊
圓山一俊㈱ホリスティックコミュニケーション
◆資格:
日本臨床心理士資格認定協会認定 臨床心理士第1716号
日本催眠医学心理学会認定 認定催眠士第21号

◆所属学会:
日本催眠医学心理学会
奈良県臨床心理士会会員

◆活動状況〈得意分野〉:
国立病院機構やまと精神医療センター心理療法士として35年、医療臨床に従事する。その後、奈良県介護・福祉人材定着支援事業、紀伊半島大水害被災者支援、大和郡山市市民相談など、臨床心理的地域援助活動に携わり、現在は、ホリスティックコミュニケーション奈良カウンセリングルーム室長として、産業臨床に従事している。

◆主な実績:
登校拒否に関する社会医学的研究で医学博士を取得。その他、神経筋肉系心身症や不安神経症の心理学的治療、介護労働者の介護負担、統合失調症の認知などに関する研究に従事し、研究論文を発表している。