身近な人が突然の出来事にあったときの声のかけ方、話の聴き方
身近な人が突然の出来事にあったとき、そばにいる人や支援する人はどのように接したらいいでしょうか。
1.声のかけ方
静かに歩み寄り、自然なタイミングで声をかけましょう。
被害にあうと、感覚が麻痺して反応に乏しくなることもあれば、何ごとも必要以上に警戒して、ちょっとした物音などの刺激でもビクっとしてしまうなど、緊張が高まった状態が続くこともあります。
このため、相手をびっくりさせたり、たとえよかれと思っても押し付けがましい態度にならないようにしましょう。
あいさつの後、「大変でしたね。」「(お体のほうは)いかがですか?」「私にできることはありますか?」などと、穏やかに声をかけることから始めることが望ましい方法です。
漠然とした問いかけは、かえって困惑されることがあるので、「○○を手伝いましょうか。」と具体的な問いかけをする方が、答えやすいようです。
2.話の聴き方
落ち着いた場所で座って話を聞くようにしましょう。
聞き役に徹し、話を途中で妨げないことが大切です。話し手の感情をあるがままに受け止めるように心がけます。
善悪の判断や批評は控えます。「そうですね。」とあいづちをしたり、話し手の言葉を「○○ということなんですね。」と繰り返して伝える方法は効果的です。
つらい話は、聴くほうもつらくなります。 つらいと感じると、ついつい
「たいしたことはない。」
「気持ちを強く持って。」
「がんばれ。」
と励ましてしまいがちです。
言われた側は、「自分が悪い。弱い。」と自分を責めたり、「分かってもらえない。」と不信感を強めてしまうことになります。
聴く側も自分の気持ちやストレスを認めて、無理をしないようにしましょう。
無理に聞き出さない配慮は大切です。
特に、災害・事故・事件の後、間もない時期に、出来事や感情を無理な形で聞き出すことは、心の傷をより深める危険があります。
3.触れることについて
触れることは、恐怖・怒り・悲しみを和らげる効果がある場合もあります。
例えば、隣に座る、別れ際の握手、高齢者の肩のあたりを軽く触れる、子どもを抱っこする、などがあります。
ただ、中には触れられることを嫌がる人もいます。触れてもいいかどうか、確認してからにしましょう。
【ペアで行うリラクゼーション】
※ペアでリラクゼーションを行う際のガイドの方法です。
- 後ろの人は、前の人の肩に手をおきましょう。
- あたたかい気持ちを手にこめて、やさしくしっかりと手をおきましょう。
- 前の人も後ろの人も、軽く目を閉じると肩の感じがよくわかります。
- 手を置いてもらうと、肩から手の指先まで、すうっと力が抜けていきます。
- からだ全体があたたかい。気持ちがほっとしてきます。
- 後ろの人は、ゆっくりゆっくりと手を離してください。すると前の人は、す~っとしたさわやかな感じがしてきます。
- (感想を言って、交代します。)
(参考文献:奈良県臨床心理士会監修(2011)『突然の出来事(災害・事故・事件等)にあったときこころのケアハンドブック』)
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