②注意欠如・多動性障害(ADHD)

発達障害(特性)には下図のように大きく3つのタイプがありますが、その境界はあいまいで、1人の人が複数の特性をあわせ持つこともあり、かなりの個人差があります。

発達障害のある人に対する「努力が足りない」「変わった性格」などのような誤解や、発達特性への理解不足から生じる周囲の人の不満やストレスを軽減するために、本人や周囲が、下図のタイプの特性を理解することで、障害特性への理解につながり、さまざまな工夫で対応していくことが可能になります。

年齢に見合わない他動や衝動的な行動、あるいは不注意、または両方の特性を持っている場合があります。

自閉症スペクトラム障害(ASD)など、ほかの発達障害を併せ持つこともすくなくありません。

注意欠如。多動性障害の人の特性として、

  1. 多動性・衝動性
  2. 不注意

などがあげられます。

1.多動性・衝動性

落ち着かず、行動のコントロールができない(多動性)、すぐにカッとなってしまい、衝動をコントロールできない(衝動性)などの特性があります。

一般的に多動性は成長とともに軽くなることが多く、成人期の症状は不注意や衝動性が中心になります。

主な特性

  • じっとしていられない。
  • 失礼なことを平気で言う。
  • 並んで待つことができない。
  • 思いつきで行動をする。

など。

2.不注意

必要な注意ができない、注意が続かないなど、注意力のコントロールができない症状があります(不注意)。

そのため、遅刻する、書類や大事なものを紛失するなど、社会に出てから困難が目立つようになります。

主な特性

  • 計画性がなく、期日に間に合わない。
  • 仕事に集中し続けることができない。
  • 整理整頓が苦手。
  • 同じミスを繰り返す。
  • 忘れ物や紛失物が多い。

など。

③【学習障害(LD)】

全般的な発達に問題はないのに、読む、書く、計算するといった学習技能の習得・使用のいずれかが極端に困難な状態です。

自分の問題点を認識し、苦手を自分なりの方法で修正・補正するように努力するため、成人期には困難を持ち越すことは多くはないといわれています。

前回・今回は、発達特性についての基本的な理解についてお話しました。

次回は、―『理解』から『支援』へ―というテーマでお届けします。

どのような支援が必要なのかがわかりにくいのも発達障害支援の特徴です。

ご本人の『困難さ』に目を向けることが支援のヒントです。

参考文献:『発達障害の職場の理解と支援ガイド』
(一般財団法人 地方公務員安全衛生推進協会)