人はストレスを受けるとどうなるか

ストレスの歴史を考える上で、最初に出てくるのが、ウォルター・B・キャノンの闘争・逃走反応です。

まず、登山中に突然あなたの目の前に熊が現れた

ことを想像してみてください。

さて、どうしますか?

①死んだふりをする。

②思い切って戦う。

③その場から一目散に逃げる。

 

人はストレスを受けると、交感神経の機能が高まり、ノルアドレナリンやアドレナリンが放出されます。

そして、放出されたノルアドレナリンやアドレナリンは緊急事態に反応するために

消化管機能を維持する血流を犠牲にして、筋肉や脳へ多量の血流を送ります。

①脳細胞を最大限に稼働させる。

②瞳孔が開いて相手をよく見る。

③気管を広げ酸素を取り込む。

④心拍数を増やし血圧をあげる。

⑤胃腸の働きを抑える。

⑥皮膚や内臓の血管を収縮させる。

⑦筋肉内の血管を拡大する。

熊と戦うにしろ逃げるにしろ必要となる強力な筋力が発揮できるようになります。

ストレスを受けたときに生じる自己防衛本能としての現象

檻に入れられている猫の前で犬を吠えさせると、猫が

①非常に興奮して瞳孔が拡大し、

②呼吸と脈拍数は増加、

③血圧は上昇、

④発汗は著しく、

⑤皮膚と内臓の血管は収縮する。

⑥脳と筋肉の血管は拡大し、

⑦胃腸の機能が低下する。

ことをキャノンは観察しました。

そして、同時に大量のアドレナリンやノルアドレナリンが分泌されていることも確認しました。

 

この様に、人や動物が外敵に遭遇するなどの非常に強力なストレス刺激を受けた際に生じる、自らの生命を守るための原始的な自己防衛本能としての現象は、『闘争・逃走反応』としてキャノンによって1929年に提唱されました。

面白いことに日本語が同音異義語の対になっていますが、これは英語が「fight-or-flight response」と韻を踏んでいるところから、訳が付けられたのかもしれません。

強いストレス刺激を受けた時どう対応すればいいか

あなたが、強いストレス刺激を受けた時どう対応しますか。

①ストレス刺激に立ち向かって戦い問題を解決する

②ストレス刺激を回避しその場から逃げ去る

どちらも非常事態に直面したストレス刺激に対して

危機から防衛するという目的にかなったポジティブなストレス反応であると考えられています。

 

その場に留まってストレス刺激を長時間受け続けた場合は、

①交感神経ではなく副交感神経の機能が相対的に強くなって、

②ノルアドレナリンやアドレナリンの放出が減少するために血圧が低下し、顔面が蒼白になり、

③消化液の分泌が増大し、胃腸の運動が亢進し腹痛が生じる場合があります。

④メンタルヘルス不調になる可能性もあります。

 

耐えがたい強いストレス刺激を受けた時は、闘争することも1つの選択肢でありますが、

そこに留まらずに逃走することも勇気ある選択肢の1つと考えて自分の身を守っていきましょう。

この記事を書いた専門家

西島雅之
西島雅之㈱ホリスティックコミュニケーション
◆資格:
日本臨床心理士資格認定協会認定 臨床心理士第38621号
キャリアコンサルタント 登録番号 17063746
精神保健福祉士 登録番号 第76892号
社会福祉士 登録番号 第210281号
介護福祉士 登録番号 第44160号

◆所属学会:
日本産業ストレス学会
京都府臨床心理士会会員

◆活動状況:
市役所にて精神保健福祉相談員として自殺予防、相談業務に従事し、その後、総合病院精神科にて心理士として医療臨床に従事している。
現在は、ホリスティックコミュニケーション京都ルーム室長として、ストレスチェックや産業臨床に従事している。