精神障害は身体の病気ですが、心理的な面からみると、「自分はダメだ、無力だ」という自分自身に対する否定(自己否定)、「自分は誰からも愛されない」という周囲との関係に対する否定(世界の否定)、「この先、自分にいいことが起こるはずはない」という将来に対する否定(将来に否定)の、3つの否定的な思い込みがこころを占めてしまっている状態です。この否定的認知の三徴といわれる3つの否定的な思い込みは、実は、だれの心の中にも存在しています。心の奥底にしっかり蓋をした箱にしまいこまれていますが、こころのボールが大きく凹んだり、破れたりすると、ふたが開いて、こころの中に、否定的な思い込みが充満することになります。
精神障害と診断されたら、まず、ボールに空いた穴や亀裂を修復することが必要ですが、次に大切になるのが、こころの中に充満してしまっている否定的な思い込みを、再度、箱にしまいこむ、蓋をする作業です。ボールの穴や亀裂を修復しただけで仕事に復帰すると、否定的な思い込みを払拭しようと、無理を重ねたり、ちょっとしたことが、否定的な思い込みを刺激したりして、再発するということになります。
「自分は完全ではないが、そう悪くない」「自分にもいいところがある」「自分のことを大切に思ってくれている人がいる」などの肯定的な気持ちを沢山もつことで、否定的な思い込みを、再び箱の中にしまうことができますが、この作業を一人でするのは容易ではありません。カウンセリングや、信頼できる人に寄り添ってもらうことが必要です。

 

 

この記事を書いた人は

圓山一俊
圓山一俊
◆資 格:日本臨床心理士資格認定協会認定 臨床心理士第1716号
日本催眠医学心理学会認定 認定催眠士第21号◆所属学会:日本催眠医学心理学会
奈良県臨床心理士会会員◆活動状況〈得意分野〉:
国立病院機構やまと精神医療センター心理療法士
として35年、医療臨床に従事する。その後、
奈良県介護・福祉人材定着支援事業、紀伊半島
大水害被災者支援、大和郡山市市民相談など、
臨床心理的地域援助活動に携わり、
現在は、ホリスティックコミュニケーション
奈良カウンセリングルーム室長として、産業臨床
に従事している。◆主な実績:登校拒否に関する社会医学的研究で医学博士
を取得。その他、神経筋肉系心身症や不安神経
症の心理学的治療、介護労働者の介護負担、
統合失調症の認知などに関する研究に従事し、
研究論文を発表している。