気持ちを楽にする心理療法
認知行動療法(認知療法)とは、認知に働きかけて、気持ちを楽にする心理療法です。
認知とは「現実の受け取り方」「ものの考え方」のことを言い、何か出来事が起こったとき、その出来事が自分にとって良い事か悪い事かを瞬間的に判断します。
良い事と判断すれば気分は爽快、行動はポジティブになり、悪い事であれば悲しみや怒りが生じて行動はネガティブになります。
また、良いか悪いかわからないときは不安になって、さらなる情報を得ようとします。
例えば、「課長に昇進した」という出来事に対して、瞬間的に、良い事と判断して「やった!自分の力が認められた」という考えが浮かべば嬉しくなりますが、「同期の中で自分の昇進が一番遅かった」など悪い事と判断すると、腹が立ったり情けなくなったりします。
「自分が課長としてやっていけるだろうか」という考えが浮かべば不安になります。
この瞬間的に浮かぶ考えを「自動思考」と呼びます。
ヒトは、物事がうまくいかないとき、自分に自信がないとき、ストレスフルなときなどには、なんでもないことを悪いことと判断したり、よい事を良い事と判断できなかったりします。
歩くというなんでもない行為、あるいは健康に良い行動が、捻挫したときには痛みをもたらす悪い事になってしまうようなものです。
なんでもないこと、あるいは良い事までをも悪い事と判断して、気分が滅入ることが増えてくると、暗い気持ちになって、さらに、あらゆることを悪い事と判断するという悪循環にはまってしまいます。
ものごとを悪く悪くとらえてしまう認知を変えるには、まず、つらい気持ちになったときに、そのときの感情と、その前に瞬間的に浮かんだ考えを区別し、その考えに気づくことから始めます。
この記事を書いた専門家
- ◆資格:
日本臨床心理士資格認定協会認定 臨床心理士第1716号
日本催眠医学心理学会認定 認定催眠士第21号
◆所属学会:
日本催眠医学心理学会
奈良県臨床心理士会会員
◆活動状況〈得意分野〉:
国立病院機構やまと精神医療センター心理療法士として35年、医療臨床に従事する。その後、奈良県介護・福祉人材定着支援事業、紀伊半島大水害被災者支援、大和郡山市市民相談など、臨床心理的地域援助活動に携わり、現在は、ホリスティックコミュニケーション奈良カウンセリングルーム室長として、産業臨床に従事している。
◆主な実績:
登校拒否に関する社会医学的研究で医学博士を取得。その他、神経筋肉系心身症や不安神経症の心理学的治療、介護労働者の介護負担、統合失調症の認知などに関する研究に従事し、研究論文を発表している。最新の投稿
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