瞬間的に浮かぶ考え方のクセ
気分が滅入っているとき、嫌な気分になっているときは、ものごとを悪い事、わからないことと判断して、否定的な考えが瞬間的に浮かんでいます。
そこには、必ず、次のような考え方のクセが含まれています。
自動思考を肯定的なものに変え、気分を楽にするために、この考え方のクセのどれが、あるいはどれらが強くなっているかを確認します。
思い込み
根拠が不十分なのに決め付ける。「私はいつも失敗してばかりだ」「私はダメな人間だ」など
白黒思考
ものごとをすべて白か黒か、よいか悪いかで考える。「ミスがあった。完全に失敗だ」など
べき思考
「~であるべき」「~しなければならない」と決めつける。「仕事とはこうあるべき」など
自己批判
よくないことがあると、なんでも自分の責任と考える。「自分がいると、場がしらける」など
深読み
相手に気持ちを一方的に推測して決めつける。「きっと自分を嫌っているに違いない」など
先読み
○○になるに違いないと悲観的な予測をたててしまう。「今度もきっと失敗する」など
例えば、「小さなミスをしてしまった」とき、
思い込みが強くなっていると、自分の悪いところを過大評価し、「ミスをしてしまった。もうダメだ、取り返しがつかない」などの考えが瞬間的に浮かびます。
白黒思考が強いと「ミスをしてしまった、完全な失敗だ」、べき思考が強いと「してはいけないミスをしてしまった、どうしよう」、自己批判が強いと「ミスをして、仕事をダメにしたのは自分の責任だ」などの自動思考が出てきます。
深読みが強くなると「こんなミスをするなんてみんなからダメなやつと思われた」、先読みが強いと「これからもミスしてばかりの生活が続く」などの考えが浮かんできます。
このように、これらの考え方のクセがあると、なんでもないことでも悪い事と判断しやすくなり、否定的な考えが浮かび、ネガティブな感情が出て、行動もネガティブになり、さらに気分が滅入って、これらの考え方のクセがより強くなるという悪循環にはまりやすくなります。
この記事を書いた専門家
- ◆資格:
日本臨床心理士資格認定協会認定 臨床心理士第1716号
日本催眠医学心理学会認定 認定催眠士第21号
◆所属学会:
日本催眠医学心理学会
奈良県臨床心理士会会員
◆活動状況〈得意分野〉:
国立病院機構やまと精神医療センター心理療法士として35年、医療臨床に従事する。その後、奈良県介護・福祉人材定着支援事業、紀伊半島大水害被災者支援、大和郡山市市民相談など、臨床心理的地域援助活動に携わり、現在は、ホリスティックコミュニケーション奈良カウンセリングルーム室長として、産業臨床に従事している。
◆主な実績:
登校拒否に関する社会医学的研究で医学博士を取得。その他、神経筋肉系心身症や不安神経症の心理学的治療、介護労働者の介護負担、統合失調症の認知などに関する研究に従事し、研究論文を発表している。最新の投稿
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