セルフケアのためにエゴグラムを使ってみよう

日本では、エゴグラムだけがTA(交流分析)の代表理論のようになっていますが、TA哲学のところで書いたようにエゴグラムはどちらかというとTAの応用理論ではあります。

でも、やはり使い勝手は良いので、セルフケアのためにぜひ役立ててほしいところです。

一番簡単な使い方としては、

①各自我状態の特徴を理解する

②自分の得意な自我状態(よく使う自我状態)、不得意な自我状態(あまり使わない自我状態)を知る

③不得意な自我状態を使う訓練をする

というやり方です。

ここで重要なのは、エゴグラムで使っている自我状態は、機能的自我状態(行動レベル)ということです。①-1で説明したのは構造的自我状態で内面的な動きですが、こちらは行動レベルで理解できるので、自分で変化を起こしやすいのです。

どの自我状態にも肯定的側面と否定的側面がありますので、どの自我状態が良いとか悪いとかの意味はありません。これらの自我状態を使う時間の割合がその人のパーソナリティを形作っていると考えます。

さて、エゴグラムは本来、質問に回答してつくるのではなく、上記の説明をしっかり理解して、真っ白な紙の一番下に横線を引き、その下に自我状態の名前を書き、以下の順番で作っていきます。

1.自分が最も活用している自我状態のエネルギー量を棒グラフで書き入れる。

2.自分が最も活用していない自我状態のエネルギー量を棒グラフで書き入れる。

3.残りの4つの自我状態のエネルギー量を相対的に書き入れる。

あなたもやってみてください。

ちなみに右図は筆者の最近のエゴグラムです。

この棒グラフの長さは、その自我状態を使っている時間の長さと考えます。もちろんこれは、現在の自分のパーソナリティ傾向ですから、良いも悪いもありません。

棒グラフの長い自我状態(得意な自我状態)はよく使いますが、短い自我状態(不得意な自我状態)はあまり使いません。つまり、価値観や対人関係の背景には得意な自我状態があります。それでうまくいってるのであれば問題ないのですが、うまくいかないとき、不得意なあまり使っていない自我状態を使うことができると対応が柔軟になり、メンタルヘルスの低下を防ぐことができる可能性が出てきます。(RCは日本の文化性の中ではあまり活用できなくてもよいと筆者は思います。ここのエネルギーが高いとメンタルヘルスは低下しやすいようです)

自分の不得意な自我状態を具体化してどんなトレーニングが自分にとって有効かをTA心理学を専門にしているカウンセラーと話し合うのもいいですし、TA101というTA心理学の入門講座をいろんな組織が実施していますので、それを受講されるのもよいでしょう。

ちなみに筆者はもうすぐ60歳ですが、ずっとトレーニングをしています。筆者のテーマはACを使うことなので、「他人の言うとおりにしてみる」ことを気にして生活しています。

そうすると、意外な対人関係が発展したりしておもしろいです。とはいえ、元々苦手な自我状態ですので、できるのは5回に1回くらいかな(苦笑)。それでも若い時はほとんどできなかったので人格的に成長したと言えると思っています。

筆者の提唱する管理職向け研修では、この考え方をベースに、働く現場を知っているからこその「現場力」「実践事例」を活用したものになっています。ラインケア研修を知識の伝達、スキル向上とせず、本質的に「職場改善」につなげるヒントが満載です。

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この記事を書いた専門家

豊田 直子
豊田 直子㈱ホリスティックコミュニケーション
◆資格:
臨床心理士、CDA(キャリアデベロップメントアドバイザー)
第1種衛生管理者、国際TA協会認定CTA(Certified Transactional Analyst)

◆所属学会等:日本産業衛生学会、日本産業ストレス学会、日本産業カウンセリング学会、日本交流分析学会、国際TA協会

◆得意分野:
働く人への短期療法的カウンセリング、TAカウンセリング
ラインケア・セルフケア研修、コミュニケーション研修、人事部門・健康管理部門へのメンタルヘルスコンサルティング