発達障害の人が過ごしやすい職場は、多くの人にとって過ごしやすい職場
前回までの3回は、発達障害の基礎知識として大きく3つのタイプについてお伝えしました。
発達障害は、目に見えないため、なかなか周囲の人に理解されず、「努力が足りない」「変わっている」と思われてしまいがちです。
そのため、本来の発達特性上の困難に加えて、周囲からの無理解や誤解から生じる困難を抱えることになってしまいます。
また、周囲の人も発達特性であることや悪気がないことがわからないために、不満やストレスを感じてしまいます。
職場での支援を考える上では
- まず、その人の発達障害の特性を理解すること
- 本人が実際にどのようなことに困難を感じているかを知ること
がポイントです。
特に本人の実際の困難さを知ることが、適切な支援や職場全体の環境をよりよくしていくことにつながります。
発達障害の人が過ごしやすい職場は、多くの人にとって過ごしやすい職場だといえるでしょう。
得意・不得意をはっきりさせる
得意・不得意の差が大きいのが、発達障害の人の特徴です。
何が得意で、何が不得意かは人によって大きく変わりますが、その得意・不得意について、本人と周囲の人が共通認識を持つことが大切です。
そうすることで、得意なことを仕事上に活かし、不得意なことは周囲の様々な工夫で対応していくことが可能になります。
発達障害の人は一般的に、人とのコミュニケーションが要求される仕事、臨機応変な対応が必要な仕事、複数の作業を同時に行わなければならない仕事が不得意だとされています。
ASDの特徴のある人が得意なこと(個人差があります。)
- 手順や見通しが明確な仕事
- ルールが決まっている仕事
- ひとつのことに集中できる仕事
- データや数字の正確性を求められる仕事
- 成果物の良し悪しが客観的にはっきりしている仕事
ASDの特徴のある人が不得意なこと(個人差があります。)
- 空気を読んで行動する仕事
- マルチタスク(複数並行処理)の仕事
- 作業環境や業務内容がよく変わる仕事
- 他企業や他部署、他者との連携が常に必要な仕事
ADHDの特徴のある人が得意なこと(個人差があります。)
- 見通しの立ちやすい業務
- 新しい発案や発想が歓迎される仕事
- 短期集中型の仕事
ADHDの特徴のある人が不得意なこと(個人差があります。)
- ケアレスミスが許されない仕事
- マルチタスク(複数並行処理)の仕事
- 機密情報を扱う仕事
- ルーティンワーク
- 危険作業
ただ、自分で「障害」を受け入れる、ということは難しいことです。
「他の人との違いに気づく」
↓
「診断を受ける」
↓
「発達障害を受け入れる」
↓
「支援の必要性を理解する」
には、それぞれの段階で乗り越える高いハードルが存在します。
本人の困りごとを職場全体の課題ととらえて、理解し支援につなげることを考えていきたいものです。
参考文献:『発達障害の職場の理解と支援ガイド』
(一般財団法人 地方公務員安全衛生推進協会)
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