認知行動療法(認知療法)とは、認知に働きかけて、気持ちを楽にする心理療法です。認知とは「現実の受け取り方」「ものの考え方」のことを言い、何か出来事が起こったとき、その出来事が自分にとって良い事か悪い事かを瞬間的に判断します。良い事と判断すれば気分は爽快、行動はポジティブになり、悪い事であれば悲しみや怒りが生じて行動はネガティブになります。また、良いか悪いかわからないときは不安になって、さらなる情報を得ようとします。

例えば、「課長に昇進した」という出来事に対して、瞬間的に、良い事と判断して「やった!自分の力が認められた」という考えが浮かべば嬉しくなりますが、「同期の中で自分の昇進が一番遅かった」など悪い事と判断すると、腹が立ったり情けなくなったりします。「自分が課長としてやっていけるだろうか」という考えが浮かべば不安になります。この瞬間的に浮かぶ考えを「自動思考」と呼びます。

ヒトは、物事がうまくいかないとき、自分に自信がないとき、ストレスフルなときなどには、なんでもないことを悪いことと判断したり、よい事を良い事と判断できなかったりします。歩くというなんでもない行為、あるいは健康に良い行動が、捻挫したときには痛みをもたらす悪い事になってしまうようなものです。

なんでもないこと、あるいは良い事までをも悪い事と判断して、気分が滅入ることが増えてくると、暗い気持ちになって、さらに、あらゆることを悪い事と判断するという悪循環にはまってしまいます。

ものごとを悪く悪くとらえてしまう認知を変えるには、まず、つらい気持ちになったときに、そのときの感情と、その前に瞬間的に浮かんだ考えを区別し、その考えに気づくことから始めます。